2007年03月14日

古きよきニッポンを感じる絵本



モチモチの木/斎藤 隆介

このブログで紹介する絵本のネタに限界が近づいた先日、わが社のスタッフの方々に、ほぼ強制的に「おススメの絵本教えて下さい!」とすがった時、皆さんおススメだったのがこの絵本だ。

最初タイトルを聞いたとき、絵のイメージとしてはほわわ~んとしたものを思い浮かべたのだったが、実際はその真逆だったもので少し驚いた。しかし、この絵が話にとてもマッチしているのである。

ここで内容に少し触れよう。

おじいさんと二人暮らしの5歳の豆太は、ひとりでトイレにも行けない臆病者。そんなおじいさんは、御年64歳にして、青獅子を追いかけて、岩から岩に飛び移るつわもの。とても豆太を可愛がっている。
タイトルにあるモチモチの木とは、豆太が名づけた家の前にある木で、豆太と来たら、夜この木を見ておびえるほどの、根っからの小心者なのである。

ある日、おじいさんが言った。
今夜は、山の神様のおまつりの日だと。モチモチの木に灯がともり、その様子はとてもきれいなのだと。その様子を見ることが出来るのは、勇気のある一人の子供だけなのだと。
自分が臆病者だということを知っていた豆太は、「おらは見れねえなあ」と、すっかりしょげかえるのである。

その夜、おじいさんが腹痛でうめき声をあげた。大好きなおじいさんの危機に、豆太は大嫌いな夜に、医者を呼びに外に駆け出した。それは怖がるのだが、おじいさんを助ける為、けなげに走りに走り、見事医者をつれて、家に帰ってくるのである。

その帰り道、モチモチの木に、火が!


その時の見開きの絵に、私は「おおー」と唸った。なるほど、作者がこの画家、滝平二郎さんに描いて欲しいと切望した気持ちがとても分かる。

絵本というのは不思議なもので、現在も数多くの新作が出版されているのにも関わらず、こうした古くからある絵本が人気だという。「これはいい絵本だ」と言ったスタッフの方が、「文章のリズムがとてもいい」と教えてくれたが、本当にその通りだ。こうした音便のよさや、おじいさんと孫のいい話というのは、現代人が書くには少し難しいのかもしれない。

ともあれ、またいい話との出会いができた。人間や、絵、景色という、日本古来の美しさを感じるこの絵本、きっとまだ何十年も読まれていくのだと思う。




  


Posted by aroha at 10:56Comments(0)子供むけ絵本

2007年03月12日

おこさん大興奮(?)な絵本



ゴムあたまポンたろう/長新太

あたまがゴムでできているポンたろう。頭をポンとぶつけ、山を越え、バラの花園を飛び越え、ポンたろうの世界一周がはじまった!

という、類を見ないストーリーと、鮮やか過ぎる色合いに、大人と子供が受ける印象は違うかもしれません。aroha姉の友人紹介のこの絵本、aroha妹(つまり私)が最初読んだときは、「なんじゃこりゃー」と思ったものですが、読めば読むほど、ツッコミどころが満載で、結構ハマります。

どうやらお子さん方にはこの絵本が大ウケするようで、アドレナリン上昇に一役買っているようです。言ってみればブ●ース・リーや、北●の拳?

こういう、大して意味のなさげな絵本も、たまにはいいですよね。



  


Posted by aroha at 13:08Comments(0)子供むけ絵本

2007年03月05日

これぞ絵本!な絵本



スイミー/レオ・レオニ(谷川俊太郎訳)

小学生の運動会、各学年に創作ダンスというのがあって、そのとき踊った「がんばれスイミ~♪」というフレーズが、今も頭の中に残っているが、そういえば原作はあまりよく知らなかった。

ところが今になって読んでみると、心が洗われるような素晴らしい作品だと分かった。

赤い魚の群れの中、一匹だけ黒いスイミー。考えた末、スイミーが取った行動は、みんなが集まって大きな魚を作り、自分は目になるというものだった。

その、みんなで大きな魚になるという行動は覚えていたものの、そこにいたるまでのスイミーの孤独を、今回初めて感じて涙した。イヤハヤ、大人社会にも子供社会にも、また魚社会にも、同じ悲しみは存在するのである。

海の中の絵は、谷川俊太郎の訳もまた素晴らしいので、心が疲れている方にぜひおススメしたい。

ちなみに今回は、aroha姉の紹介、代筆aroha妹。
姉は、これを店頭で読んで(つまり、姉もまた立ち読みしていた。似たもの姉妹)号泣したという。  


Posted by aroha at 13:35Comments(6)子供むけ絵本

2007年02月23日

こどもの定番絵本



ねずみくんのチョッキ/なかえよしを

ちびくろ・さんぼと同じく、これも「思い出の絵本」に多くの人が名前を挙げる作品ではないだろうか。

新しいチョッキをみんなに自慢するねずみくん。うらやましがった友達は、こぞって着てみて、それはぞうさんにまで!

最後に、のびのびになってしまったチョッキでぶらんこをするシーンが微笑ましい。安心して子供にみせることができる、正統派の絵本といえそうだ。

ただ、ねずみくんシリーズはこの後どんどん出版され、今では膨大な量になっているらしい。
お子さんが気に入りすぎたら、ご両親は困っちゃうかも?  


Posted by aroha at 18:02Comments(3)子供むけ絵本

2007年01月29日

ついつい食べたくなる絵本



「ちびくろ・さんぼ」/ヘレン・バンナーマン

これもまた定番中の定番ではあったものの、人種差別につながるとされ、長い間絶版になっていた作品だ。個人的な意見としては、差別の要因は見つからないと思うが、今回はそれが目的ではないので、その話題はこれで終了。

私は、今でこそこんなブログを開設しているものの、子供の頃、あまり絵本に接する機会が多かったわけでもない。従って、今の年齢になってこれを読んだのだが、それでもスゴイ本だと思う。多くの方々が、「色んな絵本を読んでもらったけど、全部内容忘れちゃった」と言った中で、「これだけは覚えている」と言うだけはある。

だってですよ、トラがですよ、バターになってですよ、ホットケーキにのせるのですよ(笑)。


この大胆な発想は、わが国が誇る浦島太郎に匹敵するインパクトではなかろうか。

ちなみに、絵本やアニメに出てくる、“一度食べてみたいものmyベスト3”は、

1「ちびくろ・さんぼ」の ホットケーキ
2「アルプスの少女ハイジ」の チーズのせパン
3「ルパン3世カリオストロの城」の 山盛りスパゲティ

だ。

……お腹すいた。  


Posted by aroha at 12:23Comments(6)子供むけ絵本

2007年01月25日

何10年先まで残したい絵本



もこ もこ もこ / 谷川 俊太郎

一度聞いたら忘れられないこのタイトル。
“思い出に残る1冊の絵本”というのは誰にでもありそうなものだが、これを挙げる人も多いのでは?

とにかくシンプルな内容だ。「もこ」と、地上から出てきた“何か”。それが、「もこもこもこ」と成長し、「ぱあん」とはじけ、また「もこ」と最初に戻る(ほら、もう終わった〈笑〉)。つまりエンドレスに楽しめる。

初版が発表されたのはもう20年以上も前になるようだが、今でも小さい子供、大興奮の絵本らしい。

この、シンプルすぎる文と絵に、子供の頃(と、言っても小学生時代だ)はただただ大笑いしていたばかりだったが、ひょっとするとここには、作者の深い真理が隠されているかもしれない(いや、いないか?)し、そんなことを想像するのも楽しい。

あまりにも単純でインパクトのあるこれは、何10年先まで語り継がれるにふさわしい1冊だと思うが、どうだろう。  


Posted by aroha at 16:49Comments(2)子供むけ絵本