2007年03月14日

◆古きよきニッポンを感じる絵本

古きよきニッポンを感じる絵本

モチモチの木/斎藤 隆介

このブログで紹介する絵本のネタに限界が近づいた先日、わが社のスタッフの方々に、ほぼ強制的に「おススメの絵本教えて下さい!」とすがった時、皆さんおススメだったのがこの絵本だ。

最初タイトルを聞いたとき、絵のイメージとしてはほわわ~んとしたものを思い浮かべたのだったが、実際はその真逆だったもので少し驚いた。しかし、この絵が話にとてもマッチしているのである。

ここで内容に少し触れよう。

おじいさんと二人暮らしの5歳の豆太は、ひとりでトイレにも行けない臆病者。そんなおじいさんは、御年64歳にして、青獅子を追いかけて、岩から岩に飛び移るつわもの。とても豆太を可愛がっている。
タイトルにあるモチモチの木とは、豆太が名づけた家の前にある木で、豆太と来たら、夜この木を見ておびえるほどの、根っからの小心者なのである。

ある日、おじいさんが言った。
今夜は、山の神様のおまつりの日だと。モチモチの木に灯がともり、その様子はとてもきれいなのだと。その様子を見ることが出来るのは、勇気のある一人の子供だけなのだと。
自分が臆病者だということを知っていた豆太は、「おらは見れねえなあ」と、すっかりしょげかえるのである。

その夜、おじいさんが腹痛でうめき声をあげた。大好きなおじいさんの危機に、豆太は大嫌いな夜に、医者を呼びに外に駆け出した。それは怖がるのだが、おじいさんを助ける為、けなげに走りに走り、見事医者をつれて、家に帰ってくるのである。

その帰り道、モチモチの木に、火が!


その時の見開きの絵に、私は「おおー」と唸った。なるほど、作者がこの画家、滝平二郎さんに描いて欲しいと切望した気持ちがとても分かる。

絵本というのは不思議なもので、現在も数多くの新作が出版されているのにも関わらず、こうした古くからある絵本が人気だという。「これはいい絵本だ」と言ったスタッフの方が、「文章のリズムがとてもいい」と教えてくれたが、本当にその通りだ。こうした音便のよさや、おじいさんと孫のいい話というのは、現代人が書くには少し難しいのかもしれない。

ともあれ、またいい話との出会いができた。人間や、絵、景色という、日本古来の美しさを感じるこの絵本、きっとまだ何十年も読まれていくのだと思う。






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